今回は普段はほとんどやらない車のレビューです。
私が車のレビューをやならい理由は、ガジェット類とは異なり感覚を言語化する必要があるからです。
ガジェット類は明るさや精細感など、数値化が容易な要素を比較する為、定型の比較を実施する事で誰がやっても同じような答えが導き出せる事が多いと考えています。
一方で車のレビューはその車のデータシートは存在するものの、その情報を元にしてドライバーが何をどう「感じるか?」と言う感性に大部分が委ねられます。
そして私の能力で一番劣っているのが、その「感性」だと思っていますので(そもそも感性に優劣があるかどうかは置いといて)、車のレビューは出来るだけやらないようにしているのです。
ただ、最近は昔に比べると色んな車に乗る機会が増え、サーキット走行などもやるようになったので、記事ネタ不足の解消の為にも124スパイダーに乗り始めて7ヶ月経過した時点での感想を述べておこうと思います。
124スパイダーってどんな車?
124スパイダーは2016年から2020年までの期間に販売されていたイタリアのフィアット傘下のアバルトブランドでリリースされた2シーターのオープンカーです。
日本国内での販売台数は2,000台強ですので、街で見掛ける事はほとんどないと思いますが、この販売台数が物語る通り、販売当時はレアな不人気車でした。
この124スパイダーは、マツダのNDロードスターをベースにして、フィアットの1.4ℓエンジンを搭載し、駆動系や足回、外装パーツをアバルトバージョンにチュー二ングした、ロードスターの兄弟車なのです。
ただ、万人向けに作られたロードスターとは対照的に、デザインに癖があり、価格もロードスターよりも100万円程度高かった事が不人気の原因と言われています。
確かにこの深海サメのような顔つきは癖がありますね(-_-;)
ボンネットとトランクに置かれたアバルトのサソリのエンブレムも然りです。
生産は広島のマツダの工場で行われた事から、イタリアのブランドでありながら国産車扱いとなる不思議な立ち位置の車でもあります。
124スパイダーの乗り味
車の乗り味の感じ方は、今まで乗って来た愛車遍歴に大きく左右されると思いますので、事前情報としては非常に重要だと考えています。
私に関して言えば、以下のようなスポーツカーの所有経験があります。
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- EG6シビック SiRⅡ
- R32スカイライン GTS-t Type M
- R33スカイライン GTS25t Type M
- BB4プレリュード Si VTEC
- ランエボX
- L880Kコペン
- NC1ロードスター
- 981ボクスターGTS
- 124スパイダー
普通の人に比べるとスポーツカーの所有経験は多いかと思いますが、感性が鈍い人間なので微妙な乗り味の違いは分からないタイプかも知れません。
※世の中にはプラシーボ効果ってものもありますし、人間の感覚なんて所詮は思い込みに大きく左右されるものかも知れませんが(-_-;)
加速感による気持ち良さについて
私が乗って来た車の中で124スパイダーに最も近いカテゴリーの車は、NC1型のロードスターです。
試乗車でNDロードスターにも乗った事がありますし、最近はNDの助手席に乗せてもらう機会もあるのですが、車重やエンジンのトルク特性を考えるとNDよりもNCに近いと感じます。
NDロードスターは車重が1,000kg前後ですが、1.5ℓのNAエンジンの為トルクが細く、一方でNCロードスターはNDより重い1,000kgあるものの、2.0ℓエンジンですのでややトルクは太めです。
124スパイダーは、NCと同程度の重量で1.4ℓと排気量は小さいですが、NCよりも更に太いトルクとなっています。
以下、最大トルクの違いです。
- NDロードスター:152N/7000rpm
- NCロードスター:189N/5000rpm
- 124スパイダー:250N/2500rpm
124スパイダーはNDよりはNCに近いとは言っても、ターボエンジンですので歴代ロードスターとは全くトルク特性が違います。
人によっては発進時のトルクが薄い感じるようですが、最大トルクが2500回転付近で発生しますので、走り出してしまえば必要なだけグイグイ加速する印象です。
かと言って決して暴力的な加速でもないので、公道でベタ踏みするのに遠慮も必要ないレベルです。
一方で4500回転以降は見る見るトルクが落ちて行きますので、上まで回して楽しいエンジンではないのは確かです。
ただ、街乗りはトルクフルで快適ですし、峠でもトルクバンドに乗せていれば立ち上がりで気持ち良く加速出来ます。
124スパイダーの峠を走った時のトルク特性は、官能性と言った面からはよろしくありませんが、これと対照的な高回転型のトルクフルなNAエンジンは、公道でその領域を使うのが憚られるので、楽しさと言う面では街乗りとワインディングのバランスに優れた車と言えそうです。
ロードスターは公道でも気兼ねなく上まで回せますし、高回転域まで使い切る楽しさはロードスターの方が上かと思いますが、市街地でのストレスない加速とワインディングでの立ち上がりのダッシュの気持ち良さは断然124スパイダーの方が上だと感じます。
コーナリングの気持ち良さについて
コーナリングの気持ち良さは、加速感よりも更に感性に頼る部分かと思います。
私はNDロードスターを運転した事もあるのですが、それは試乗車でしたのでワインディングを流す手前くらいの速度域でしか走った事がありません。
一方でNCは自分で所有していましたので、何度もワインディングを走っていますが、実はNCも124スパイダーも足回りがノーマルではありません。
- NCロードスター:TEINの減衰力調整式の車高調
- 124スパイダー:ショックはノーマルだが、スプリングはアイバッハのダウンサス
NCロードスターは減衰力調整式の車高調でしたが、公道で固めに設定すると結構不快な突き上げが出て来るので、一番柔らかめの設定にしていました。
一方で124スパイダーはノーマルよりもおそらく3~4cm位は車高が下がった状態です。
この状態での感想になりますが、124スパイダーはNCと比べるとステアリングの遊びが少なく、サスペンションも固めですので、コーナリング時の荷重移動がクイックで気持ち良く曲がれます。
MRの981ボクスターに比べるとノーズが長く、ズバスバ内側に切り込んでいく感覚は薄いものの、ロードスターと比べるとロール量が少ないので、コーナー進入時や脱出後の車の向きは変え易い印象です。
エグゾーストサウンドの気持ち良さについて
124スパイダーには純正OPで、ノーマルよりも排気音が大きいレコモンマフラーが用意されています。
私の場合にはレコモンマフラーを後付けしていますので、ノーマル状態の排気音も体感していますが、ノーマル状態では普通の車よりもやや排気音が大きいな、と言った程度で、特別な印象は受けませでした。
最近の国産車の大人し目の車外マフラーと言った感じです。
一方でOPのレコモンマフラーは、純正OPとは思えない爆音です(笑)
夜間は早朝のコールドスタートは近所に気を遣いますが、このような演出は万人向けを狙った国産車ではなかなか難しいと思いますし、希少価値の高い要素でしょう。
まとめ
以上、124スパイダーの感想を述べました。
個人的には運転する楽しさはロードスターよりも上だと思いますが、価格の分だけの価値があるかどうかは微妙です(-_-;)
リセールを考えた時にロードスターよりもお得になる可能性を考慮するなら、124スパイダーを選んでも良いのではないでしょうか?
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