太平洋フェリー「いしかり」で迎えた朝。
甲板に出ると、北海道の冷んやりとした空気が顔にあたる。東の空は白み始めていて、いよいよ北の大地に降り立つという実感が湧いてきた。
苫小牧への到着予定は11時。フェリー内で朝食をとりながら、下船後のルートを頭の中でなぞる。
苫小牧上陸、道東へ走り出す
定刻通り11時に苫小牧フェリーターミナルへ接岸。
車両デッキに戻り、エンジンをかける。ボクスターのフラット6が目を覚ます音を聞くと、フェリーでの一夜が切り替わり、再びドライバーとしての感覚が戻ってくる。
ただ、苫小牧の空模様はあいにくの小雨。フェリーを降りた直後、私はすぐに車を停めて幌を閉めた。
オープンのまま北海道を走り出したかった気持ちはあったが、ここは割り切って初動の快適性を優先する。
車列が動き出し、ターミナルを出たのが11時15分頃。最初の目的地は「レストランみやもと」。ここで早めのランチを取ることになっている。
レストランみやもとで北海道最初の食事
11時50分、「レストランみやもと」に到着。
店内はすでに昼時の混雑で賑わっていたが、どうにか全員が一堂に会せるテーブルを確保できた。
この日選んだのは、人気No.1メニューの「夢眠豚(むーみんぶた)チーズハンバーグ」。
地元産ブランド豚を使ったやわらかいハンバーグに、濃厚なチーズがとろりとかかった一皿で、脂の旨味と塩気のバランスが絶妙。旅先で食べるにはもったいないくらい丁寧な味付けだった。
食後はすぐに道東自動車道へ入り、占冠方面を目指す。
この辺りで雨が止み、幌を開けた。空はまだ曇っていたが、路面は乾き始めており、風も穏やか。ようやくオープンカー本来の走りを楽しめる状態になった。
ここから道東の景色が徐々に色濃くなっていく。
山あいの緑が深くなり、空の高さと道の広さが本州とはまるで違う感覚をもたらす。
ここから道東の景色が徐々に色濃くなっていく。
占冠PA・長流枝PAで休憩、道東らしい空気を感じる
13時40分、占冠PAで最初の休憩。標高が上がり、空気が明らかにひんやりしている。
交通量は少なく、片側1車線ながらも走行は快調。ボクスターの素直なハンドリングが生きるような中速コーナーが続き、気持ちよく距離を稼げる。
さらに14時55分、長流枝PAで短めの休憩を取り、ここから阿寒方面へ南下していく。
道の駅 阿寒丹頂の里から釧路へ
16時20分、「道の駅 阿寒丹頂の里」に到着。
施設の裏手には湿原と釧路川の景色が広がり、短時間ながらも北海道らしさを感じられる場所だった。
ここで再度隊列を整え、国道243号〜666号〜53号とつないで釧路市内へ向かう。
夕方の国道はやや混雑していたが、大きな遅れもなく17時30分には今夜の宿「ホテルルートイン釧路駅前」に到着。
長距離だったが、走行ペースと休憩のバランスが良く、疲労感は少なかった。
旬鮮ろばた もりやで道東の夜を味わう
チェックイン後、夕食は「旬鮮ろばた もりや」へ。
繁華街の外れにある落ち着いた店構えで、地元の常連客も多いようだった。
まずは刺身の盛り合わせ。どの魚も新鮮で身が厚く、特に北寄貝の歯ごたえが印象的だった。
続いて登場した花咲ガニは濃厚な旨味と繊細な甘さがあり、季節を感じさせる逸品。
メインの焼き物には、肉厚の“まほっけ(真ホッケ)”。皮はパリッと焼かれ、脂の乗った身が口の中でほぐれていく。
締めには名物のそば寿司。香ばしい海苔とそばの食感の組み合わせが新鮮で、最後まで飽きさせない構成だった。
店を出ると、釧路の夜は気温12度。肌寒さが心地よく、駅前の静かな通りを歩いてホテルへ戻った。
こうして2日目は終了。道東の空気と海の幸に触れたことで、旅がようやく“北海道らしく”なってきた実感があった。
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